Proton Pass & Proton Mailで自ドメインのメールアドレスを無限に作って使い分けよう

2026年9月12日

いままで使っていた @gmail.com を捨てて @teslur.jp@xxx.teslur.jp のメールアドレスを使っていきましょう、というお話。

これまでのあらすじ

まず僕のGmailはもうスパムだらけになってしまった。
そして無限に容量を食ってしまうので定期的に頑張って削除をするか容量を金を払って買うことになる。
奥さんのこのツイートとか反響が大きかったですね。

不要なメールの容量を削減するHackがメチャ受けする時代

Googleのサービスは使い続けたいのでGmailのアカウント自体は捨てる選択肢は無いものの、Gmailアドレスは連絡先ではなくウェブアイデンティティとして持つに留めて、連絡先メールアドレスは別のものにして行きたい…と思ったというわけ。

どうも無限にメールアドレスを生やす方法があるらしい

Windymeltさんのツイートを見かけて、どうもインターネットの世界にはそういうことをやるプラクティスがあるっぽいことを知りました。

「メールの都度発行」「Proton Mailでできる」あたりに興味を惹かれる

Proton自体は名前は聞いていて、パスワードマネージャの会社だと思っていました。
ですがこれを見るとメールサービスもやっていそう、というのと、それを使うと無限にメールアドレスが増やせるらしいので俄然興味が湧いてきました。

Protonとは?

スイスに拠点を置く企業で特に「エンドツーエンド暗号化」を標榜した様々なサービスを提供しているようです。

Proton: プライバシー・バイ・デフォルト
1億人以上がProtonを利用し、オンラインでのプライバシーとセキュリティを維持しています。 無料のProtonアカウントを入手して、お客様のプライバシーを取り戻しましょう。

色々と前提は有りつつもコアバリューは「プラットフォームも顧客のデータを読めないプライバシーファーストのポリシー」のようで、プライバシーを重視したい人は選択肢に上がるようです。

プライバシーは人権のひとつです。 という一文も実にかっこいい。

ちょうど1Passwordの値上げを受けて退避先を探していたことも有り、Protonのサービスを使ってみることにしました。

システム構成

前提

ドメインを所有しており、そのドメイン配下のDNSレコードを作成できる必要があります。
このサイトが teslur.jp で運用されていることからわかると思いますが、僕は teslur.jp ドメインを持っているのでそれを使います。

なお、ドメインの保有はお金がかかります。

Proton Mail

カスタムドメインが使えるプランに加入します。プランについては後述。
使用開始後、 https://account.proton.me/u/0/mail/dashboard にアクセスすると左側メニューに Proton Mail > ドメイン名 という項目があるので開くとカスタムドメインを設定する画面が出ます。

teslur.jp を設定済みの画面。未設定状態だと「ドメインを追加」だけ出ていると思います。

「ドメインを追加」をクリックすると追加したいドメインを入力でき、入力するとWEBエンジニアならおなじみの諸々のDNSレコードの設定指示が出てきます。

検証用TXT、MX/SPF/DKIM/DMARC…おなじみですね。

ここまで終わると Proton Mail > 署名とアドレス の「自分のメールアドレス」セクションからカスタムドメインのメールアドレスが追加できるようになっているはずです。

@teslur.jp がプルダウンで選べる様になっているので選択して、@ より前を決める。

これで自分の所有するドメインで「人間に教える」「人間とのやり取りに使う」メールアドレスを作成できました。

「人間に教える」「人間とのやり取りに使う」というのは何かというと、これをそのままGmailのメールアドレスの代替で使うと、どこぞのサービスから漏れたこのメールアドレスにスパムが届き始めたりするし、どのサービスが漏らしたのかもわからない…という今までとまるで同じ状況が発生します。
なので、次にProton Passも使って Hide-my-email機能を使うことで無限メールアドレス生成ライフを送ることにします。

Proton Pass

Hide-my-email機能を使えるプランに加入します。
使用開始後、 https://pass.proton.me/u/0/settings にアクセスすると設定画面が開かれるので上のタブから「エイリアス」を選び、ここでもカスタムドメインを追加します。

カスタムドメインを追加した状態

ここで所持ドメインのサブドメイン( xxx.teslur.jp )をカスタムドメインとして追加します。

サブドメインにしているのはメインのAPEXドメイン( teslur.jp )のMXレコードはProton Mailで使っているためです。
複数ドメインを所有しているなら別ドメインを使ってもいいでしょうが、このエイリアスで追加したメールアドレスはあくまで「受け取るためだけ」のメールアドレスとして作っており、送信もできるが手間なのでやり取りには使いにくいです。
そうすると、例えばHide-my-emailで使うドメインAでどこかのサービスにユーザー登録し、サービスXのカスタマーサポートとやり取りを始める場合なんかに登録したメールアドレスのドメインAと無関係なドメインBでやり取りを始めることになるので、多分説明が面倒です。
なのでHide-my-emailで使う上記画面で登録するカスタムドメインはメインのドメインのサブドメインにし、どちらも所有者が同じことがわかりやすいようにしました。

サブドメインを入力
サブドメインの方のDNSレコードの追加指示が諸々出るので対応

これらを設定すると、任意の文字列@サブドメイン の形式のメールアドレスが無限に生成可能になります。
これがHide-my-emailで、このメールアドレスをサービスごと、例えば x@サブドメイン とか amazon@サブドメイン とか発行してサービスごとに使い分けることで、どのサービスがメールアドレスをおもらしまたは目的外利用したのかがわかりますし、漏れてしまったメールは即座に捨てることができます。快適!

じゃあこの発行したメールアドレスはどこに届くのか、というのは「エイリアス」タブの下の方の「メールボックスを追加」を押してメインのドメインで先ほど作ったアドレスを入れればそちらに届きます。

@teslur.jp のアドレスを設定している

これで無限に払い出したメールアドレスはすべてメインのドメインのメールボックス、すなわちProton Mailに集約され、楽しいメールライフを送ることができます。

なお、メインのドメインのメールアドレスは、プランによりますが有限個作成可能です。
なので例で出したカスタマーサポートとのやり取り用にメールアドレスを作っても良いかもですね。

SimpleLogin

ですが、これだけだと以下のシナリオで嫌なメールが届きます。

  • Xで個人情報の漏洩が有り、 x@サブドメイン のメールアドレスが漏れた
  • 攻撃者は適当なサービス名を @サブドメイン の前に入力してメールが届くか確認する
  • amazon@サブドメイン のメールが届くので、そちらにスパムメールを送ったり、Amazonにログインを試みる

嫌ですね〜〜〜〜〜。

対策として、 @ の前を全部または一部ランダム文字列にしてしまう案があります。
こうすればランダム文字列部分は推定困難なので、攻撃者が生きているAmazon用メールアドレスにたどり着く可能性が激減します。
この機能はProton Pass…というか、このHide-my-email機能を提供している実体であるSimpleLoginというサービスに用意されています。

まずProton Passのエイリアス画面で追加したカスタムドメイン(サブドメイン)が表示されていると思いますが、その行の「アクション」列の ... をクリックすると「情報」「DNS」というタブがあるモーダルが出ます。
ここで「情報」タブの「ランダムプレフィックス生成」をONにすると、生成するメールアドレスが x.gaming@サブドメイン など .ランダム単語 つきで生成されるようになります。

ランダムプレフィックス生成ON

でもランダムといっても「辞書にある単語」です。
ランダム文字列よりは推測可能性が上がっています。

これを完全にランダム文字列にする機能はSimpleLoginのダッシュボードで有効化できます。
https://app.simplelogin.io/dashboard/ にアクセスし、Proton Passと同じログイン情報でログインするとダッシュボードが見れます。
ここで「Settings」タブを選んで「Aliases」の項目を見ると「Select the default suffix generator for aliases.」という項目があるので「Random combination of 5 letter and digits」を選択して右の「Update」ボタンを押してあげましょう。

SimpleLoginのダッシュボードに到達すると使える裏機能

これでProton Passからエイリアスを生成すると、 指定した文字列.ランダム文字列@サブドメイン のメールアドレスが無限に作れるようになります!

保管庫の画面から +新規作成 > エイリアス を選択
Hogeサービス向けというタイトルで hoge.mhamt@サブドメイン というランダム文字列入りでどのサービス向けかわかりやすいメールアドレスが即手に入る

これでどこかのサービスにメールアドレスの登録を求められたら即新しいメールアドレスを作成すれば済むのです。
なおProton Passブラウザ拡張を入れているとメールアドレス入力欄を選択した時点で自動で新しいメールの作成サジェスチョンもしてくれます。便利すぎる。(ただしサービス側がちゃんと「メールアドレス入力用だよ」と実装してくれていれば…!)

「メールを非表示にする」を選ぶだけでメールアドレスが作られる。スクショはランダム文字列の設定前なので サービスドメイン@サブドメイン のメールアドレスが作られた。

補足: Catch-Allについて

Proton PassエイリアスにもProton Mailにも「キャッチオール(Catch-All)」という設定があります。
これは「ドメインが一致したらメールボックスまで届けてくれる」機能で、例えば存在しない naiyo@teslur.jpuso@xxx.teslur.jp もメールボックスに届けることができる機能です。

今回の構成ではこれは意図的にONにしません。
というのも、この構成がONの場合以下の問題が生まれます。

  • PassエイリアスのCatch-Allが有効な場合:サブドメインでサービスごとのメールアドレスを発行しているが、どこかのサービスからメールアドレスが漏れてサブドメインを知られるだけで任意の @サブドメイン アドレス宛にスパムが到達する
  • MailのCatch-Allが有効な場合:メインのドメインのメールアドレスは対人用で極力隠したいが、サブドメイン文字列から上位ドメインは特定できるのでサブドメインのメールアドレス流出→任意のメインのドメイン宛のスパム到達が起きる

要は漏洩耐性が無になります。
便利機能を使うと防御力が下がるんですわ。

プランについて

Protonはプロダクトごとのプラン加入ではなく、Protonアカウントが一つのプランに加入してプランで使えるプロダクト(とその機能)が解放される方式です。
なので、今回の構成では「A. Proton Mail でカスタムドメインが使える」「B. Proton Pass で Hide-my-email が個数無制限」「C. Proton Pass で Hide-my-email でカスタムドメインが使える」すべてが実現できるプランを選ぶ必要があります。

というわけでMailとPassに関連するプランをAIに調査してもらいました。

プラン 月額 A: Mailカスタムドメイン B: Hide-my-email C: エイリアスのカスタムドメイン この構成
Proton Free ¥0 ❌️ ❌️ 10個まで ❌️ ❌️
Mail Plus ¥624 ✅️ 1個 ❌️ 10個まで ❌️ ❌️
Pass Plus ¥624 ❌️ ✅️ 無制限 ✅️ 10個 ❌️
Pass Family ¥874 ❌️ ✅️ 無制限 ✅️ 10個 ❌️
Proton Unlimited ¥1,624 ✅️ 3個 ✅️ 無制限 ✅️ 10個 ✅️
Proton Duo ¥2,499 ✅️ 3個 ✅️ 無制限 ✅️ 10個 ✅️
Proton Family ¥3,749 ✅️ 3個 ✅️ 無制限 ✅️ 10個 ✅️

※ 2026年9月12日時点、proton.me の日本円表示(月払い)。年払いにすると20〜40%安くなります。

条件を満たす中で最安はProton Unlimitedですが、今回はProton Duoに加入しました。
これはこの構成が理由ではなく、Duoだと家族ユーザーをもう一人追加できて、緊急時にPassを復元してもらったり参照権限を渡したりするバディとして登録できるためです。
妻の第二子の出産や私の健康上の課題発見などを通して、最悪時に誰もログインできないものをなくす目的でDuoを選びました。
その話はまた今度。

使ってみてどうなの

  • 無限にメールアドレスが作れるの、すごい快感
  • Proton Mailのメールクライアントアプリの機能や完成度はGmailには劣る。普通に使えるけど。
  • すでに登録しているメールアドレスを差し替えていくのめっちゃ遠大な作業で辛い
  • これからインターネットに漕ぎ出す人はまず最初に独自ドメインを取るところから始めると良いのでは。ドメインが高騰しそうだけど。

まとめ

メールアドレスを隠して楽しいインターネット!

私の個人あての、対人用メールアドレスが知りたい人は個別にご連絡ください。

深堀 哲史 / TETSUSHI Fukabori

深堀哲史(TETSUSHI Fukabori) 1986年生まれ。 A Software Engineer. 写真撮影、コーヒー、登山、愛犬と遊ぶこと、家族が好き。